【マドリード 1月16日】
スペイン王国の都マドリードにおいて本日、作家ミゲル・デ・セルバンテスによる長編小説『ドン・キホーテ』前巻が刊行された。騎士道物語の流行が続くなかで世に問われた本作は、遍歴の騎士に憧れる一介の郷士が、自らを騎士と信じ込み冒険の旅に出る姿を描いた物語である。
物語の主人公ドン・キホーテは、数多の騎士物語を読み耽った末に正気を失い、痩せ馬ロシナンテに跨って遍歴の旅に出る。忠実だが現実的な従者サンチョ・パンサとの対比によって、理想と現実の隔たりが巧みに浮かび上がる構成となっている。風車を巨人と見誤る場面など、滑稽な挿話が連なる一方で、当世の騎士道精神そのものを問い直す鋭い諷刺が随所に込められている。
出版関係者によれば、本書は宮廷人から市井の読者まで幅広い関心を集めており、刊行早々から話題となっているという。華やかな英雄譚が好まれる時代にあって、理想に生きようとする人間の哀切さを描いた点が新鮮に受け止められている。
この作品が単なる笑話にとどまらず、文学の新たな地平を切り開くものとなるか、今後の評価が注目される。
— RekisyNews 文化面 【1605年】
