【樺太 1月3日】
日本映画界で知られる女優岡田嘉子が本日、演出家の杉本良吉とともに、樺太に設けられた北緯50度の日ソ国境線を越え、ソビエト連邦側へ入ったことが明らかになった。平穏とは言い難い国際情勢の中での越境は、関係方面に大きな波紋を広げている。
関係筋によれば、両名は厳しい寒さの中、監視の行き届く国境地帯を通過したとされる。詳細な動機については明らかにされていないが、芸術活動をめぐる志向や個人的事情が背景にあるとの見方が出ている。国内では、著名人による異例の行動として驚きをもって受け止められている。
岡田は無声映画からトーキー初期にかけて人気を博し、当代を代表する女優の一人であった。一方の杉本は舞台・映画の演出で知られ、前衛的な試みにも関心を示してきた人物である。今回の行動について、文化界では表現の自由と国家の枠組みをめぐる議論が早くも起きている。
樺太の国境越えは、個人の決断にとどまらず、時代の緊張を映す象徴的な出来事とも言える。二人の行方と今後の活動がどのように展開するのか、国内外の関心が集まっている。
— RekisyNews 社会・文化面 【1938年】
