【ドレスデン 1月2日】
作曲家リヒャルト・ワーグナーの新作歌劇「さまよえるオランダ人」が本日、ドレスデンで初演され、作曲者自身の指揮のもとで舞台に上げられた。荒海をさまよう伝説的な船乗りの宿命を描く物語は、陰影に富む音楽と劇的表現で観客の強い関心を集めた。
序幕から重厚な序曲が鳴り響き、嵐や海の情景を思わせる管弦楽が物語世界へと引き込む。登場人物の心理を音楽で掘り下げる手法は、従来の歌劇に比べて一体感が強く、音楽とドラマの緊密な結合が際立つ構成となっている。観客席からは場面転換ごとに拍手が起こり、緊張感の高い上演となった。
ワーグナーは指揮台に立ち、細部にまで目を配った統率で楽員と歌手を導いた。関係者は、主題動機を軸に全体を貫く書法について、新しい歌劇の方向性を示す試みだと評価している。一方で、その独自性ゆえに賛否も交錯し、議論を呼ぶ作品となりそうだ。
ドレスデンでの初演成功は、作曲家の名声をさらに高める契機となる可能性がある。歌劇表現の刷新を志向する歩みがどのように受け止められていくのか、今後の上演と評価に注目が集まっている。
— RekisyNews 文化面 【1843年】
