【ニューヨーク 12月29日】
米国特許庁は本日、著名な発明家トーマス・エジソン氏に対し、「空中電気信号伝送装置」に関する特許(米国特許第465,978号)を正式に付与した。これは従来の有線電信の常識を打ち破るものであり、電線を使用せずに空間を通じて信号を送り出す画期的な技術として、通信界に革命をもたらすことが期待されている。
ニュージャージー州オレンジにあるエジソン氏の研究所は、この歴史的な報を受け、活気に満ちている。研究所内では巨大な蒸気機関が重厚な音を立てて作動し、数多くの研究員が次なる実験に向けて慌ただしく立ち働いている。取材に応じたエジソン氏は、自信に満ちた表情で次のように語った。
「今回の特許取得により、人類は物理的な電線の制約から完全に解放されるだろう。空中を自由に往来する信号こそが、距離という障壁を克服する鍵となるのだ」
本装置は、「誘導現象」を利用して信号を伝える仕組みであり、船舶間や陸上間の通信において、これまで困難だった地理的制約を克服する可能性を秘めている。特に大西洋を航行する船舶との連絡が可能になれば、遭難防止や救急連絡において、その価値は計り知れないものとなるだろう。
一方で、科学界の一部からは「空中を伝わる信号の安定性には疑問が残る」といった慎重な意見も出ているが、エジソン氏は「実用化こそが私の使命である」と断言し、既にさらなる長距離通信の実験に着手しているという。
蓄音機や白熱電球に続き、再び世界を驚かせた「発明王」の知的好奇心。有線時代の緩やかな終焉と、無線時代の壮大なる幕開けを予感させる冬の朝となった。
— RekisyNews 社会面 【1891年】
