【ジュネーブ 12月20日】
本日、欧州原子核研究機構(CERN)において、World Wide Web(WWW)の最初のシステムが稼動した。研究者間で情報を効率的に共有することを目的に構想されてきたもので、文書同士を相互に結び付ける新しい仕組みが、実際の運用段階に入った。
このシステムは、ハイパーテキストの考え方を用い、計算機上の文書を相互参照できる点に特徴がある。利用者は専用の閲覧ソフトを通じて文書を呼び出し、関連情報へ次々と移動できる。開発者のティム・バーナーズ=リー氏は、分散した情報を一体として扱える環境を目指したとしており、研究所内での実用性が確認されつつある。
現時点では利用範囲は限定的だが、ネットワークを介した情報提供という発想は、将来、学術分野にとどまらず、社会全体に広がる可能性を秘めている。情報の扱い方を根本から変える技術として、関係者の注目を集めている。
— RekisyNews 科学面 【1990年】
