コメ市場ついに部分開放へ──政府が方針決定、自給体制は大きな転換点に

【東京 12月14日】

政府は本日、長らく続いてきたコメの自給体制を転換し、海外からの輸入を部分的に開放する方針を正式に決定した。戦後一貫して国内農家保護を軸に据えてきたコメ政策は大きな節目を迎え、農政・貿易双方において重大な影響をもたらす見通しである。今回の決定は国際的な貿易交渉の進展を受けて実施されるもので、関係省庁は来年度以降の具体的な輸入枠の設定に向け協議を進めるとしている。

本年度の冷害による不作も背景として挙げられ、消費者の間ではすでに外国産米の店頭販売が話題となっていた。会見した農水省関係者は、「国内生産を基盤としつつ、安定供給のため多角的な調達が必要」と説明し、従来の“国内自給一本”の姿勢が現実にそぐわなくなったことを強調した。一方で産地では価格低下への不安の声が上がり、農家の一部は「守られてきた制度が崩れる」と戸惑いを見せている。

市場関係者からは、輸入米の品質や流通体制、価格の妥当性などについて慎重な議論を求める声もあり、今後の制度設計が焦点となる。専門家は「国際化の流れは避けられず、日本の農業が新しい形を模索する転換点に立った」と指摘している。

— RekisyNews 経済面 【1993年】

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