“信用金庫が危ない”噂広がり行列──豊川で前例なき取り付け騒ぎ、20億円超が引き出される

【愛知・豊川市 12月14日】

豊川信用金庫で本日、預金者が殺到する異常事態が発生した。事の発端は、地元の女子高生が友人同士の会話で口にした「豊川信金は危ないらしい」という冗談めいた噂話が、予想外の速さで地域に広まり、真実と誤解されてしまったことにあった。午前中から窓口には長蛇の列ができ、ついには20億円を超える預金が引き出される取り付け騒ぎへと発展した。

市内の商店街でも「倒産するらしい」「早く行かないとお金が戻らない」といった声が飛び交い、住民同士が不安を煽り合う状況となった。信用金庫側は繰り返し「経営状態は健全であり、噂に根拠はない」と館内放送や掲示で説明したが、動揺した預金者の列が途切れることはなかった。職員らは通常の数倍の業務に追われ、「このような騒ぎは経験がない」と困惑の表情を見せた。

午後になって警察や金融当局が事態収拾に乗り出し、公式に信用不安が無いことを発表すると、ようやく混乱は落ち着きを見せ始めた。しかし、噂が金融機関に与える影響の大きさが浮き彫りとなり、住民の間には「軽い言葉が重大な結果を招く」との反省の声も上がっている。

— RekisyNews 社会面 【1973年】

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