【東京 12月8日】
本日、NECホームエレクトロニクスは家庭用ゲーム機「PCエンジン」の新ラインとして、「PCエンジン コアグラフィックス」 および 「PCエンジン スーパーグラフィックス」 の2機種を同時発売した。年末商戦に向けた強力な布陣として注目を集め、量販店や玩具店では開店前から待ちわびたファンが列を作った。
この日発売されたコアグラフィックスは、従来機PCエンジンの機能を基本的に踏襲しつつ、本体カラーをグレー基調へ変更。背面にはAV端子を標準装備し、より鮮明な映像出力を可能にした“実用強化型モデル” として位置付けられている。価格も手頃に設定され、既存ユーザーからの買い替え需要、ならびに初めてPCエンジンを手にする層を意識した展開とみられる。
一方、もう一つの注目モデルが、より高性能な スーパーグラフィックス である。新たに複数の背景レイヤーを扱える描画能力を備え、スプライト処理数も増強され、アーケード並みの表現を家庭で実現することを目指した“上位機種” として開発された。専用タイトル「バトルエース」などが同時発売され、店頭では試遊台に人だかりができていた。
秋葉原の電器店では、「PCエンジンの新しい可能性を試してみたい」「スーパーグラフィックスのグラフィック性能に期待している」と語るファンが多く、既存ラインナップとの差別化に注目が集まっている。販売担当者の一人は「性能強化型を求める人と、手頃なモデルを選ぶ人がはっきり分かれている。今年の年末はPCエンジンが再び注目されそうだ」と話した。
ただし、スーパーグラフィックス専用タイトルは現時点で数が限られており、今後のソフト供給が普及の鍵を握るとみられる。メーカー側はすでに複数の対応タイトルを準備中としており、ソフト展開がどこまで広がるかが注目点となる。
2つの新モデルの登場は、PCエンジンが次の段階へ進むための重要な試金石 となり、競争が激化する89年末の家庭用ゲーム市場において大きな存在感を放っている。
— RekisyNews 経済面 【1989年】
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