【東京 12月8日】
本日、政府は新たな紙幣として 50銭券(いわゆる「靖国50銭」) の発行を開始した。金属資源の深刻な不足が続く戦時下において、硬貨の製造が困難になったことから、政府紙幣としての50銭券を導入する措置が取られたものである。
今回発行された50銭紙幣は、靖国神社の神門が図案として採用されたことから「靖国50銭」と呼ばれ、印刷は大蔵省印刷局が担当。大きさは既存の紙幣よりも小ぶりで、携帯しやすい仕様となっている。流通は全国の銀行・郵便局を通じて順次進められる見通しだ。
政府関係者は、「金属類は兵器生産のため優先的に確保する必要があり、貨幣としての利用を制限せざるを得ない状況だ」と説明。銅やニッケルといった資源を節約しつつ、人々の日常生活に必要な少額決済を維持するための措置であることを強調した。
東京市内の商店では、戦時下の物価統制と現金不足が重なる中、紙の50銭券の使用感に戸惑う声も上がっている。八百屋の男性店主は「急に紙のお金になるとは思わなかったが、使えるなら問題ない」と語る一方、主婦からは「小額紙幣は便利だが、これ以上物の値が上がらないでほしい」と不安の声も聞かれた。
また、硬貨の不足はすでに各地で影響が出ており、自動販売系の仕組みや公共交通の料金徴収にも調整が必要とされる。鉄道関係者は「乗車券販売で硬貨不足が続いていたため、一定の改善が期待できる」と話しつつも、紙幣使用による釣銭管理の煩雑化も懸念されている。
今回の政府紙幣発行は、戦争が国民生活の細部にまで影響を及ぼしている現実を象徴する出来事であり、今後もさらなる物資統制と代替措置が検討される可能性がある。
— RekisyNews 経済面 【1942年】
