【東京 12月5日】
本日、これまで日本の鉄道を統括してきた 帝国鉄道庁 が廃止され、その業務は新たに内閣直属の 「鉄道院」 として再編された。鉄道が国家の基盤として急速に重要性を高める中、政府は中央集権的な管理体制を整え、運営効率と近代化をさらに進める狙いだ。
午前、東京・霞が関の庁舎では改組に伴う官制交代式が行われ、関係官吏や報道関係者が見守る中、鉄道院総裁に任命された後藤新平氏が挨拶。「鉄道は国家の動脈である。院の名に恥じぬよう、全国の鉄道をより強く、より安全に発展させたい」と力強く述べた。
今回の改組により、鉄道院は内閣の直接統轄下に置かれ、政策決定の迅速化が図られる。鉄道線路の新設、運賃制度、車両技術の開発、そして職員の教育制度まで、広範囲にわたる業務を一体的に扱うことが可能となる。政府関係者は「鉄道網の拡大と国力向上を見据えた抜本改革」と評価している。
一方で現場の職員には戸惑いも見られる。ある駅の監督は「名前が変わっただけでなく、業務手続きも変わるらしい。慣れるまで時間がかかりそうだ」と語った。
それでも、旅客からは「鉄道がもっと便利になるなら良いことだ」「列車の増発に期待したい」と前向きな声が多く聞かれる。各地では鉄道延伸を求める陳情も増えており、鉄道院の新体制に寄せられる期待は大きい。
また、日露戦争後に輸送体制の弱点が浮き彫りになったことで、政府内では「鉄道の国家戦略化」が強く意識されていた。今回の改組もその流れの一環とされ、軍事・産業・物流のあらゆる分野で鉄道の役割がさらに拡大するとみられている。
本日の鉄道院発足は、日本の鉄道行政が新たな段階に入ったことを示す象徴的な出来事である。
近代国家としての足腰を支える鉄道網が、この改革を機にどこまで発展していくのか、国内外の注目が集まっている。
— RekisyNews 社会面 【1908年】
