【東京 12月3日】
本日、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、新型家庭用ゲーム機 「PlayStation(プレイステーション)」 を日本国内で発売した。発売価格は3万9,800円で、CD-ROMドライブと高性能3Dグラフィックス機能を備えた次世代機として注目を集めており、初日から量販店や玩具店には長い行列ができた。
本体はCD-ROMを採用することで、従来のカートリッジ方式に比べて大容量のデータを扱うことができ、映像・音声表現は大きく向上した。さらに専用チップによる3Dポリゴン描画機能を備え、アーケードさながらの立体的なゲーム画面を家庭で楽しめるのが特徴だ。ゲームファンや開発者の間では、「家庭用ゲーム機の新しい時代を切り開く存在」との声も上がっている。
都内・秋葉原の量販店前には早朝から多くの人が並び、開店直後に用意された本体が次々と売れていった。大学生の男性は「3Dゲームを家で遊べるなんて夢のようだ」と興奮気味に話し、親子連れの男性は「CD-ROMのゲームは音も画面も桁違いだ。時代が変わった感じがする」と笑顔を見せた。
ローンチタイトルには、レースゲーム『リッジレーサー』や対戦格闘『闘神伝』、シミュレーションやRPGなど、多彩なジャンルのソフトが並んだ。店頭のデモ画面の前には人だかりができ、ハンドル型コントローラーを試す若者の姿も見られた。SCE関係者は「映像と音楽、そしてゲーム性を融合させた新しいエンタテインメントを提供したい」と語る。
一方、既に普及している任天堂のスーパーファミコンなどとの競争は激化するとみられる。ゲーム雑誌編集者は「家電メーカーとしての技術力を持つソニーの参入で、家庭用ゲーム機市場の勢力図は大きく塗り替えられる可能性がある」と分析している。
年末商戦を目前に控え、次世代ゲーム機“PlayStation” がどこまで家庭のテレビ前を席巻するのか。今日の発売は、日本のゲーム文化とエンタテインメントの在り方を大きく変える一歩となりそうだ。
— RekisyNews 経済面 【1994年】