【東京 12月3日】
本日、東京都内において、政府は日本初となる個人タクシーの営業を正式に認可した。従来、タクシー営業は企業組織による運行が中心であったが、個人が自らの車で営業できる制度の発足は、交通行政における大きな転換点となる。
初認可を受けたのは、長年タクシー運転の経験を積んだ複数の運転者で、運輸省は「安全運行・法令遵守・地域貢献」を条件に厳しい審査を行ったという。営業許可証を受け取った運転者の一人は「自分の名前で客を乗せられる日が来るとは思わなかった。責任は増えるが誇りも大きい」と語り、喜びを隠さなかった。
個人タクシーは、車両の管理・清掃・整備を運転者自身が行うため、乗客に対して「顔の見えるサービス」が提供できる点が特徴とされる。今日の初営業では、都心の駅前で待機する個人タクシーに興味を示す市民が多く、「運転が丁寧で安心できる」「いつもの運転手さんと話がしやすい」といった声も聞かれた。
一方で、同業の法人タクシー会社からは「運賃の競争が激しくなるのでは」との懸念も上がっている。ただし、運輸省は「台数管理や資格基準により、健全な運行体制を維持する」と説明し、過度な競争を避ける制度設計を進めている。
専門家は、個人タクシー制度の導入について「地域輸送の柔軟性が高まり、乗客サービスの多様化につながる」と指摘。今後は地方都市への拡大や、交通需要の変化に応じた運用が期待されている。
タクシー運転者の長年の夢とされてきた“自営のハンドル”。本日の営業認可により、日本の交通サービスは新たな時代を迎えた。街を走り始めた個人タクシーの行方に、今後も注目が集まりそうだ。
— RekisyNews 社会面 【1959年】
