【東京 11月26日】
全国の交通網が、かつてない規模で麻痺した。日本国有鉄道(国鉄)の全労組が結集した「スト権スト」が26日午前0時から始まり、全国の鉄道全線が完全に運休した。国鉄の全線停止は史上初の事態である。
このストライキは、国鉄労働組合(国労)や動労などの8組合が「争議権(スト権)の法的保障」を訴えるために実施したもの。労組側は「労働基本権の回復は労働者の当然の権利」と主張し、国家公務員法によって争議権が制限されている現状に異議を唱えている。
政府・運輸省側は、このストを「違法な争議行為」とし、国鉄総裁を通じて業務命令の発出や損害賠償請求の検討を始めた。国会では与野党の間で激しい議論が交わされ、公共交通を人質に取る行為か、正当な権利主張かをめぐり、国民世論も二分されている。
今回のストライキは8日間の長期戦が予定されており、通勤・通学・物流・観光などあらゆる分野に甚大な影響が予想される。都心では駅に掲げられた「全面運休」の表示に戸惑う市民が列をなした。
国鉄関係者によると、復旧にはスト終了後も一定の調整期間が必要との見通しで、国民生活への影響は今後さらに拡大する可能性がある。
— RekisyNews 社会面 【1975年】
