【東京 11月25日】
出版大手の平凡社は本日より、前例のない規模と内容を誇る総合的な辞典『大百科事典』の刊行を開始した。第1巻の刊行を皮切りに、全28巻の構成で順次発行される予定であり、完成には5年を要する見込みだ。
この事典は、文学、歴史、自然科学、芸術など、あらゆる分野を網羅し、現代人の知識欲に応える決定版となることを目指している。内容の信頼性を担保すべく、各分野の専門家が執筆を担当しており、巻頭には豊富な図版や写真も収録。一般家庭でも利用できるよう平易な表現と索引の工夫がなされている。
発行元の平凡社は、「知識の民主化」を理念に掲げ、一般読者にも手の届く価格と体裁を心がけた。編集の中心に立つのは、学界・出版界を代表する識者たちであり、まさに英知の結集といえる事業である。
近代日本において、こうした大規模な百科事典の刊行は極めて意義深く、今後の教育や教養の向上に大きく貢献するとみられる。図書館や教育機関をはじめ、多くの家庭での常備も期待されている。
— RekisyNews 文化面 【1931年】
アイキャッチ画像 Takayoshi Nishida – image, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36042590による
