無線の未来を切り拓く――「テリムコ」、アメリカで発売

【ニューヨーク 11月25日】

新進気鋭の技術者ヒューゴー・ガーンズバック氏が、世界初の大衆向け無線機「テリムコ(Telimco)」を発売した。この小型送信機は、これまで軍用や専門技術者のものとされてきた無線通信を、一般市民が手にすることを可能にした画期的な製品として注目を集めている。

「テリムコ」は、正式には「TELegraphy, IMprovement COmpany」の略称を冠した無線送信装置であり、乾電池とアンテナを使って最大で1.6km先の受信機に信号を送ることができる。価格はわずか7.5ドルと、当時としては比較的手頃な設定で、少年や無線愛好家向けに販売が始まった。

ガーンズバック氏は、この無線機を皮切りに通信技術の民主化を目指す構想を掲げており、彼の運営する「モダン・エレクトリクス」誌でも、この製品の使い方や回路図が掲載される予定。この一歩が、今後の家庭用無線機器や教育分野における技術普及に繋がるものと期待されている。

なお、ガーンズバック氏はルクセンブルク出身で、アメリカに移住後、電子機器の発明と啓発活動に尽力。後に「空想科学の父」としても名を馳せることとなる人物であり、本製品の登場は技術と娯楽の交差点を象徴する出来事といえるだろう

— RekisyNews 科学技術面 【1905年】

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