“ヘラクレス”が日本にやって来る──外国産昆虫44種、輸入ついに解禁

【東京 11月24日】

本日、農林水産省は、これまで輸入が禁止されていた外国産のカブトムシおよびクワガタムシ計44種について、検疫条件付きでの輸入解禁を正式に発表した。これにより、世界最大級の昆虫「ヘラクレスオオカブト」や「ギラファノコギリクワガタ」など、かつて図鑑でしか見ることのできなかった昆虫が、一般市場で取り扱われる道が開かれることとなった

解禁対象となるのは、中南米・東南アジア・アフリカなどを原産とするカブトムシ15種、クワガタムシ29種。輸入には植物防疫法に基づく検疫のほか、飼育設備や脱走防止策などが求められるが、個人・業者いずれも届出を行えば輸入・販売・飼育が可能となる

今回の解禁は、昆虫愛好家や専門業者からの強い要望を受けての措置であり、飼育目的での需要増加が背景にある。一方で、外来種が逃げ出した場合の生態系への影響や、国内在来種との競合を懸念する声も上がっており、今後の監視体制や情報提供の在り方が問われている

都内のペットショップでは、早くも「ヘラクレス先行予約受付中」などの張り紙が掲げられ、子どもだけでなく大人の昆虫ファンも関心を寄せている。ある店主は「価格は数万円から十数万円と高額だが、それだけの魅力がある」と話す。

日本の昆虫文化に、国境を越えた新たな風が吹き始めた。だがその一方で、“自然との共存”の意識が今まで以上に問われる時代でもある。

— RekisyNews 科学面 【1999年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次