【札幌 11月17日】
バブル期の不動産融資の後遺症に苦しんでいた北海道拓殖銀行(拓銀)が本日、自主再建を断念し、戦後初となる都市銀行の経営破綻を発表した。1899年の創業以来、北海道経済を支えてきた老舗銀行の消滅は道内に大きな衝撃を与えている。
拓銀はバブル期、北海道開発の名目で大規模な不動産関連融資を拡大したが、景気後退と地価下落により不良債権が急増。内部では再建計画策定が続けられていたものの、資本不足は深刻で、金融監督庁は本日、破綻処理による業務整理が避けられないと判断した。
処理スキームは当初、道内最大手の北海道銀行が受け皿となる案も検討されたが、道銀側が財務リスクを懸念し難色を示した。最終的に、拓銀の主要店舗・健全資産は北洋銀行が承継し、信託業務や一部資産は中央信託銀行に引き継がれることが決定した。北海道銀行は、道内のごく一部店舗の移管を受けるにとどまる。
札幌市内では朝から預金者が列をつくり、行員が対応に追われた。「まさか都市銀行が倒れるとは」と不安の声が上がる一方、政府は「預金者保護に万全を期す」と強調。金融危機が深まりつつある国内で、銀行システム全体の安定が問われている。
— RekisyNews 経済面 【1997年】
