【リオ・デ・ジャネイロ 11月15日】
本日、ブラジル帝国の首都リオ・デ・ジャネイロで軍部によるクーデターが発生し、皇帝ペドロ2世が退位に追い込まれた。陸軍の実力者デオドロ・ダ・フォンセカ将軍が臨時政府の樹立を宣言し、国内は帝政から共和制へ移行する歴史的転換点を迎えた。
早朝、フォンセカ将軍率いる兵士らが大統領府に進軍し、内閣を掌握。皇帝側近の逮捕命令を発し、政府高官の多くが辞職した。皇帝ペドロ2世は抵抗を望まず、午後には皇后テレサとともに王宮を離れ、欧州への退去準備に入ったと伝えられる。これにより、67年続いたブラジル帝国は事実上崩壊した。
新政府は即日、臨時政権の成立を宣言。国家の元首にはフォンセカ将軍が就任し、「ブラジル合衆国(República dos Estados Unidos do Brasil)」の名の下に、共和国体制の構築を進める方針を発表した。
ペドロ2世は在位49年に及び、自由主義的な政策と奴隷制廃止で国民の尊敬を集めていたが、近年は軍部や共和派の不満が高まり、帝政の維持は困難と見られていた。市内では混乱も見られたが、流血は最小限にとどまった模様。
リオの街頭では、市民の間から「共和国万歳!」の声が上がる一方、旧体制の崩壊に驚きを隠せない者も多い。南米最大の国が、いま新たな政治体制の幕を開けた。
— RekisyNews 国際面 【1889年】
