【ロンドン 11月14日】
本日午後6時、英国放送会社(British Broadcasting Company、略称BBC)は、英国史上初となる一般向けの定期ラジオ放送を開始した。ロンドンのマーベル・アーチ近くにあるスタジオ「2LO」から発信されたこの歴史的な第一声は、まさに英国における「放送時代」の幕開けを告げるものである。
開局第一日の放送では、BBCの社員アーサー・バロウ氏がアナウンサーとして登場し、天気予報とニュースを読み上げるかたちでプログラムが始まった。受信可能な家庭はまだ限られているものの、英国中に「無線電信」によって情報と娯楽を届けるという新しい試みに、国民の期待と関心が高まっている。
BBCは、政府と通信業界の共同出資によって今月初旬に設立されたばかりの組織で、今後はバーミンガム、マンチェスターなど各都市に放送局を開設し、全国ネットワークの整備を進める方針だ。
これまで情報の伝達手段は新聞や電報が主流だったが、今回の無線音声放送は、それらを凌駕する速度と臨場感を兼ね備えており、政治・経済・文化・芸術の広がりに大きな影響を及ぼすとみられている。
一台の受信機が家庭に会話と音楽を運ぶこの新時代。英国内では今後、ラジオが家庭の中心に据えられる日も遠くないだろう。
— RekisyNews メディア面 【1922年】
