「フォード帝国」に異例の人事──マクナマラ氏、初の“非フォード家”社長に就任

【デトロイト 11月9日】

米自動車大手フォード・モーターは本日、ロバート・S・マクナマラ副社長(44歳)を新たな社長に任命したと発表した。フォード創業以来初めて、創業家以外の人物がトップに就任する異例の人事となる。

マクナマラ氏は、第二次大戦後に入社した経営陣「ウィズ・キッズ(Whiz Kids)」の筆頭格で、数理的手法やデータ分析を取り入れた近代的経営で社内外から高く評価されてきた人物。これまで財務、販売戦略、安全対策など幅広い改革に取り組み、急成長する同社の屋台骨を支えてきた。

今回の社長就任により、創業者ヘンリー・フォードの血縁者以外が初めて指揮を執ることになり、自動車業界のみならず米財界でも注目を集めている。

なお、マクナマラ氏は先月、社長就任が取り沙汰されていたルイス・クレイストン上級副社長と共にCEO候補に挙げられていたが、最終的に“分析と現場感覚を併せ持つ若き改革者”として信任を得た格好だ。

フォード・モーターは今後も、海外展開・安全技術の向上・製品ラインの刷新を重点課題とする構えで、新社長の手腕に大きな期待が寄せられている。

— RekisyNews 経済面 【1960年】

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