ベルギー国営航空会社 SABENA、破綻宣言 ── 78年の歴史に幕

【ブリュッセル 11月6日】

ベルギーの国営航空会社、SABENAは本日、運営継続が困難な状況にあるとして、近く商業破産申請を行う方針を明らかにしました。1923年の創設以来78年にわたってベルギーのフラッグキャリアを務めてきた同社ですが、複数年にわたる巨額の赤字と、新規資本注入の期待が外れたことで、ついにその歴史に終止符が打たれようとしています。 

SABENAの経営は、1990年代半ば以降、親会社であったスイスの Swissairの支援に依存していましたが、Swissair自身が財政危機に陥ったことが引き金となりました。 数年前には3 億ユーロを超えるとされる負債を抱え、政府主導の再建計画「Blue Sky」も資金調達の目途が立たず、10月初旬には債務再編保護を申請していました。 

本日、ブリュッセル商業裁判所は同社の破産を宣告する見通しで、これにより約12 000人の直接雇用とさらに多くの間接雇用が影響を受けると報じられています。  国内外メディアは今回の事態を、「ベルギー史上最大級の企業失敗」と位置付け、欧州航空業界の構造的な変革をも予告する重大事件と報じています。 

政府関係筋は、「国営キャリアとしての保持は困難となった。今後は新たな民間航空会社の立ち上げを検討せざるを得ない」と語っており、SABENAの資産・航空機・路線網の整理を巡る動きが加速する見通しです。 

本社が位置するブリュッセル空港では、本日午後から「最後のフライト」が行われ、乗員乗客は同社の長年の歴史に黙とうを捧げるような雰囲気に包まれました。航空機の模型や古い制服を手に記念撮影を行う元社員の姿も見受けられました。

航空業界では、安全性や整備・機材更新のコストが増大する一方、低運賃競争の激化と2001年9月11日のテロ攻撃の余波が経営環境を急速に厳しくしました。SABENAのケースは、国営キャリアという位置づけが必ずしも安定を保証しないという現実を示すものとも言えます。

— RekisyNews 経済面 【2001年】

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