大阪・中之島に東洋陶磁美術館開館──住友グループ寄贈の安宅コレクションを公開

【大阪 11月6日】

本日、大阪市北区・中之島公園内に「大阪市立東洋陶磁美術館」が開館した。展示の中心となるのは、住友グループが大阪市に寄贈した安宅コレクション約1,000点。世界的にも貴重な東洋陶磁の名品を集めたコレクションであり、その規模と質は国内外の美術関係者から高い評価を受けている。

安宅コレクションは、かつての商社・安宅産業が長年にわたり蒐集してきた東洋陶磁の名品群で、朝鮮李朝白磁や高麗青磁、中国宋・元時代の陶磁器などが中心。安宅産業破綻後、収蔵品の行方が注目されていたが、住友グループがこれを引き取り、大阪市への寄贈を決定。地域文化の振興と国際的な芸術交流を目的に、美術館の設立が実現した。

開館式には関係者や美術愛好家らが多数参列。住友グループ代表は「大阪の地に、東洋美術の新たな拠点が誕生した。多くの人々にその魅力を伝えたい」と挨拶した。続いて大阪市長は「この寄贈は市民にとって大きな文化遺産となる。東洋の美を通じて国際理解を深めたい」と謝辞を述べた。

館内は最新の照明と湿度管理設備を備え、作品保存の面でも世界水準を誇る。開館記念展では「東洋陶磁の至宝」と題し、李朝白磁の名品「青花辰砂梅樹文面取壺」や高麗青磁の香炉など、約400点が一般公開されている。

秋晴れの中之島には多くの来館者が訪れ、静かな館内で淡い釉色に光を透かしながら、東洋陶芸の精緻な美に見入る姿が見られた。大阪の新しい文化拠点が、今日その幕を開けた。

— RekisyNews 文化面 【1982年】

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