【群馬県富岡 11月4日】
本日、群馬県富岡において、日本初の本格的な器械製糸工場「富岡製糸場」が操業を開始した。設立は明治政府主導による殖産興業政策の一環で、フランス人技師ポール・ブリューナ氏の指導のもと、最新の西洋式製糸技術を導入して建設された。
富岡製糸場は、国が資金と用地を提供し、民間から工女を集めて教育・雇用する官営工場として設立された。建物は木骨煉瓦造の洋風建築で、製糸器械や蒸気機関などフランス製の最新設備を備える。これにより、従来の手作業中心だった糸繰りから一線を画す、生産性の高い工業生産が可能となった。
操業開始にあたっては、地元を中心に数十名の工女が入場し、フランス式の糸繰り技術を習得すべく、指導が始まっている。女性の職業教育と工業化が同時に進む先進的な取り組みとして、注目が集まっている。
政府は、同製糸場を生糸の品質向上と輸出促進の拠点と位置づけており、欧米市場への販路拡大を狙う日本の近代産業の象徴とする構えだ。今後は、各地の民間工場への技術移転や人材育成の中心的役割を担うことが期待されている。
— RekisyNews 経済面 【1872年】
