迎賓の要、帝国ホテルが開業――文明開化の象徴、東京・日比谷に誕生

【東京・日比谷 11月3日】

本日、近代日本の迎賓館たる「帝国ホテル」が、東京・日比谷の地にて正式に開業した。外国賓客をもてなすための本格的西洋式ホテルとして、その誕生は内外の注目を集めている。

開業式には、皇室関係者や政府要人、外国外交官らも出席。式典後には館内が一般にも公開され、明治の近代化政策を象徴する建築とサービスが披露された。

帝国ホテルは、宮内省の主導のもと「帝国ホテル株式会社」として設立され、明治政府の西洋外交強化と文明国としての体裁整備の一環として構想されたもの。

場所は日比谷練兵場(現在の皇居外苑)に近接し、各国の使節や要人の宿泊を想定。建物は木骨煉瓦造2階建て、客室数60を超える規模で、日本の西洋式ホテルとしては最大級のものとなっている。

館内はガス灯やカーペット敷きの客室、西洋料理を提供するレストラン、応接室やバンケットホールなどを完備。接客には英語を話す従業員が配されるなど、当時としては極めて先進的な運営体制が敷かれている。

同ホテルは、すでに開港地・横浜や神戸に見られる外国人向けホテルとは異なり、**東京の中心部で外交と観光を支える「迎賓の拠点」**として設計されており、今後の国際交流の中心となることが期待される。

— RekisyNews 経済面 【1890年】

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