【東京 10月30日】
NECホームエレクトロニクスは本日、家庭用ゲーム機「PCエンジン」を全国で発売した。パソコン開発で培った技術力をもとに設計された本機は、従来のゲーム機に比べて圧倒的に高精細なグラフィックとサウンド性能を誇り、早くもゲーム愛好家から注目を集めている。
本体は手のひらサイズのコンパクト設計ながら、8ビットCPUに加え、16ビット相当のグラフィックチップを搭載。解像度は256×239ドット、色数は512色中最大482色を同時表示できるなど、当時としては画期的な映像表現力を実現した。また、音源には6音同時発音のウェーブテーブル方式を採用し、アーケードに迫るサウンド体験も売りのひとつとなっている。
ローンチタイトルには、ハドソンとの共同開発によるシューティングゲーム『ビックリマンワールド』などがラインナップ。ソフトはカード型の「Huカード(ヒューカード)」で供給され、持ち運びや収納も容易。今後は外付けCD-ROMドライブの発売も予定されており、将来的な拡張性にも期待が集まる。
NECはこれまで企業向けのパソコンや通信機器に注力していたが、今回の家庭用ゲーム市場参入により、若年層やファミリー層へのブランド浸透を狙う。
任天堂のファミリーコンピュータが圧倒的なシェアを握る中で、PCエンジンは「高性能・多機能」を前面に打ち出して差別化を図る構えだ。年末商戦を前に、家庭用ゲーム市場に新たな風が吹きそうだ。
— RekisyNews 経済面 【1987年】
