ロンドン証券取引所、制度大改革を実施――「ビッグバン」で金融自由化の時代へ

【ロンドン 10月27日】

本日、イギリスのロンドン証券取引所において、戦後最大級の制度改革が一斉に実施され、英国金融界は歴史的な転換点を迎えた。 この改革は通称「ビッグバン(Big Bang)」と呼ばれ、取引制度・規制構造・市場慣行など広範にわたる抜本的な自由化措置が盛り込まれている。

最大の変化は、伝統的な「立会場(フロア)」での人力取引から、コンピューターを介した電子取引への移行である。これにより取引速度は大幅に向上し、海外投資家や新規参入者に対しても門戸が開かれることとなった。

また、従来は厳格に分離されていたブローカー(仲介業者)とディーラー(自己売買業者)の兼業が解禁され、外資系金融機関のロンドン市場参入も可能となるなど、市場競争の促進と国際化が急速に進む見通しだ。

この改革は、サッチャー政権が進めてきた規制緩和・民営化路線の一環であり、イギリス経済の復興と国際金融都市ロンドンの地位強化を目的として準備されてきた。財務省筋によれば、「硬直化した制度の見直しこそが、ロンドンを21世紀の国際金融センターにする鍵だ」との強い意志のもと、準備が進められてきたという。

証券業界では早くも、米国・日本をはじめとした世界の大手金融機関がロンドン市場への進出を加速させており、「シティ」は今後、世界の資本が集まるグローバル取引拠点として再編されていくと見られている。

一方で、急激な自由化に伴う寡占化や不正取引リスク、社会格差の拡大などの懸念もあり、今後の運用状況と監視体制が注目される。

今日のビッグバンは、イギリス金融史のみならず、世界市場全体に波及する構造変革の幕開けといえるだろう。

— RekisyNews 経済面 【1986年】

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