【茨城・東海村 10月26日】
本日、日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR)が臨界に達し、国内初となる原子力による発電に成功した。この快挙は、日本の原子力利用における重要な転換点であり、戦後復興とエネルギー自立を目指す国策の象徴と位置づけられている。
JPDR(Japan Power Demonstration Reactor)は、東海村に建設された軽水冷却・軽水減速型の原子炉で、研究・実験用の位置付けながらも発電機を備え、電力出力1万キロワット級の実用炉に近い運転環境を想定して設計された。発電された電力は、研究所内の一部施設に供給されたとされる。
本日の試験運転は、技術陣による慎重な手順のもと行われ、制御棒の引き抜きにより炉心が臨界に達し、原子炉の熱出力によってタービンが回転、電力が送電されたことが確認された。この成功は、日本のエネルギー開発が新たな段階に入ったことを意味する。
日本原子力研究所の担当者は、「本日は、日本の原子力平和利用の幕開けを告げる記念すべき日だ。将来的には商用原発の開発に繋げたい」と述べ、今後の技術革新と安全性向上への決意を強調した。
原子力をめぐっては、資源小国である日本にとって安定的な電力供給手段として大きな期待が寄せられている一方で、安全性や放射性廃棄物の課題も伴う。今後の原子力政策の在り方が、より一層注目されることになりそうだ。
— RekisyNews 科学面 【1963年】
