「1000曲をポケットに」──Apple、革新的音楽プレーヤー『iPod』を発表

【カリフォルニア州クパチーノ 10月23日】

Apple Computer社は本日、携帯型デジタル音楽プレーヤー『iPod(アイポッド)』を発表した。厚さわずか2cm、重さ約185gのコンパクトな本体に、最大1000曲のMP3ファイルを保存できる5GBのHDDを内蔵。同社のスティーブ・ジョブズCEOは発表会で、「音楽の持ち運び方を根本から変える製品」と力強く宣言した。

特徴的なのは、本体中央に配置された円形の「スクロールホイール」。このホイールを指で回すことで、膨大な曲リストも直感的に操作可能。また、パソコンとの連携にはFireWire(IEEE1394)を採用し、数百曲の転送がわずか数分で完了する高速同期も実現。加えて、連続10時間の再生が可能なリチウムポリマーバッテリーを内蔵している。

対応ソフトは、Appleの音楽管理ソフト「iTunes(現時点ではMac専用)」。ユーザーはCDから取り込んだ楽曲をiTunesで管理し、iPodに転送することで、自分だけの音楽ライブラリを持ち歩くことが可能となる。

ジョブズ氏は、「CDプレーヤーや他社のMP3プレーヤーとは一線を画す使いやすさと洗練されたデザインを備えている」と語り、Appleならではのユーザー体験を強調した。

販売は来月からアメリカ国内で開始され、価格は399ドルに設定される。対応は当面Macユーザー限定となるが、将来的なWindows対応にも含みを持たせており、音楽市場におけるAppleの挑戦が本格的に始まることとなった

ポケットに1000曲──この小さな白い箱が、音楽の聴き方そのものを変える一歩となるかもしれない。

— RekisyNews 技術面 【2001年】

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