未来へ夢託した車、志半ばで終焉──DMCが経営破綻

デロリアン

【デトロイト 10月19日】

アメリカの自動車業界に異彩を放っていたデロリアン・モーター・カンパニー(DMC)が、本日正式に倒産手続きに入った。同社は、元ゼネラルモーターズ副社長ジョン・デロリアン氏が1975年に設立し、未来的なデザインのスポーツカー「DMC-12」で一世を風靡したが、わずか7年で幕を閉じることとなった

DMC-12は、ガルウィングドアとステンレス製ボディという独創的なデザインで注目を集め、特に若年層から熱い支持を受けた。「未来の車」というイメージ戦略が功を奏し、映画業界からの関心も高く、一部では近未来SF作品への登場も噂されていた。

しかしながら、販売台数は伸び悩み、製造コストの高さと経営の不透明さから資金繰りが急速に悪化。さらに先月、創業者ジョン・デロリアン氏が麻薬密売に関与した疑いで連邦捜査局(FBI)に逮捕されたことが決定打となり、資金調達の道が断たれたと見られている。

デロリアン氏は容疑を否認しており、裁判の行方に注目が集まるが、会社としてのDMCはすでに主要工場の閉鎖に入り、事業再建の見通しは極めて厳しい。デトロイトの業界関係者の間では、「夢を追いすぎた男の結末」との声も上がっている。

約9,000台あまりが生産されたDMC-12は、今後プレミアがつく可能性もあり、愛好家の間で評価が再燃するかもしれない

— RekisyNews 経済面 【1982年】

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