東南アジアの密林を貫く──タイ・ビルマ間の鉄道がついに全通

【バンコク 10月17日】

本日、タイとビルマ(現在のミャンマー)を結ぶ全長415キロの鉄道路線「泰緬鉄道」が、ついに全線開通を迎えた。日本陸軍が主導するこの鉄道建設は、連合軍との戦闘が激化するビルマ戦線への補給路確保を目的としており、軍事上の重要性がきわめて高い

鉄道は、タイ側のバンポンとビルマ側のタンビュザヤを結ぶ路線で、熱帯の密林、険しい山岳地帯、激しいスコールに阻まれながらも、突貫工事により1年4ヶ月という異例の速さで完成した。これにより、海路の脆弱性を補う陸路の軍需輸送路が確保され、ビルマ方面への兵員・物資の迅速な移動が可能となる。

工事は日本軍の管理の下、連合軍の捕虜や現地動員されたアジア人労働者(ロームシャ)など、総勢25万人以上が従事。資材不足や劣悪な衛生環境、過酷な労働が続き、建設中に多数の死傷者が出たことも明らかとなっている

日本軍は、今後この鉄道を通じてビルマ方面の作戦遂行に一層の弾みをつける構えだが、国際的には捕虜の扱いや強制労働に対する批判の声も高まっており、開通の陰には複雑な事情も潜んでいる

現地では、鉄道の完成を記念して簡素な式典が行われ、関係者らがテープカットに臨んだ。式典では「アジアの連帯と共栄を象徴する路線」との言葉が掲げられたが、その裏にある現実を巡っては、今後の議論を呼びそうだ。

— RekisyNews 国際面 【1943年】

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