【グレスベイ 10月17日】
本日、イタリアの発明家グリエルモ・マルコーニ氏によって、世界初となる商用の大西洋横断無線通信サービスが正式に開始された。通信は、カナダ東部ノバ・スコシア州グレスベイと、アイルランド西岸のクリフデンを結ぶルートで行われ、国境と海を越えた革新的な通信手段として、通信技術の新時代の幕開けを告げるものと評価されている。
この無線通信システムは、マルコーニ社が長年にわたり開発を進めてきたものであり、1901年に初の大西洋横断無線信号の実験送信に成功して以来、着実に改良が加えられてきた。今回は初めて、商用としての運用に踏み切ることで、個人や企業が実際に無線での通信を利用できる環境が整った。
本日行われた初通信では、グレスベイの送信所から送られた電報が、わずか数秒でアイルランド側の受信所に到達。技術陣によると、平均的な通信速度は既存の海底電信ケーブルに匹敵する水準に達しているという。
この画期的な通信手段により、遠隔地間での迅速な情報伝達が可能となり、国際貿易や外交、報道の在り方にも大きな影響を与えることが予想される。ロンドンの金融関係者の中には「この技術が世界市場の即時情報共有を可能にする」と期待を寄せる声も上がった。
マルコーニ氏は声明で、「これは無線の持つ可能性のほんの始まりに過ぎない」と述べ、将来的には世界中を無線で結ぶ構想を明らかにした。
— RekisyNews 科学面 【1907年】
