【ボストン 10月11日】
インスタントカメラで一時代を築いたアメリカの老舗企業ポラロイド社(Polaroid Corporation)は11日、連邦破産法第11章の適用を申請し、経営破綻に至った。1947年の創業以来、瞬時に写真が現像される革新的な技術で世界中に衝撃を与えた企業が、デジタル化の波に抗しきれず、ついにその歩みを止めることとなった。
破産申請はマサチューセッツ州の連邦破産裁判所に提出され、総資産は約8億ドル、負債は約9億5千万ドルに達する。同社は裁判所の監督下での再建を目指すとしており、営業は当面継続される見込み。
ポラロイドは1948年に世界初のインスタントカメラを発売し、レジャー写真の概念を変えた。その技術革新は、「撮ったその場で写真が見られる」体験を一般家庭に提供し、世界的ブームを巻き起こした。ピーク時には年間数千万台のカメラと数十億枚のフィルムが販売されたとされる。
しかし1990年代以降、デジタルカメラの急速な普及や写真のオンライン共有文化の台頭により、ポラロイドの主力製品は急速に市場競争力を失った。再建のためのデジタル製品への転換も遅れを取り、財務状況は悪化の一途をたどっていた。
業界関係者は、「ポラロイドの破綻は、アナログからデジタルへの歴史的転換点を象徴する出来事だ」とコメント。今後、ブランドや特許を活用した再生の道が模索されるとみられている。
— RekisyNews 経済面 【2001年】