国産ウイスキーに新たな挑戦──寿屋、「12年もの」発売し本格市場へ

【大阪 10月8日】

本日、洋酒製造販売で知られる寿屋(本社:大阪市北区、鳥井信治郎社長)は、長年にわたり熟成を重ねた新たなウイスキー、「サントリーウヰスキー12年」を全国に向けて発売した。独特の四角い瓶に詰められたその姿から、関係者の間ではすでに「角瓶」の愛称で親しまれている。

同社によると、この新商品はスコットランドの本格的な蒸溜技術に倣い、厳選されたモルトとグレーンをブレンドし、12年間の熟成期間を経て完成した本格ウイスキーであるという。これまでの国産ウイスキーにはない深いコクとまろやかさを追求しており、創業者・鳥井社長の「日本人の舌に合った本物の洋酒を届けたい」という悲願が込められている。

記者が訪れた大阪市内の洋酒販売店では、陳列された角瓶に早くも市民の注目が集まっていた。ある飲食店の主人は、「ウイスキーはやっぱり舶来ものと思っていたが、これは見た目も立派で味にも自信があるらしい。客に出しても恥ずかしくない」と語る。

寿屋は以前より、赤玉ポートワインやサントリー白札などの製品で洋酒文化の普及に努めてきたが、今回の新商品により国産ウイスキーの地位向上を狙っている。近年の洋酒人気の高まりを受け、今後は都市部を中心に市場の拡大が見込まれる。

鳥井社長は記者会見にて、「日本人の手で、本当にうまいウイスキーを作る。その第一歩が今日だ」と語り、国産洋酒への強い自信をのぞかせた。

— RekisyNews 経済面 【1937年】

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