豪華列車「オリエント急行」、パリを出発し欧州横断へ

【パリ 10月4日】

本日、ヨーロッパ大陸を横断する国際豪華列車「オリエント急行」が、フランス・パリのストラスブール駅から初の定期運行を開始した。鉄道旅行の新時代を告げる本列車は、ブカレストやジロカストラを経て、コンスタンティノープル(現イスタンブール)へと至る壮大なルートを予定しており、各国の鉄道網を接続する国際協力の象徴とも言える。

この運行を手がけるのは、ベルギーの実業家ジョルジュ・ナゲルマケールス氏が創設した「国際寝台車会社(Compagnie Internationale des Wagons-Lits)」。乗客には、絢爛な装飾が施された寝台車や食堂車が用意され、これまでにない快適な長距離鉄道の旅が提供されている。

初日の列車には各国の外交官や記者、富裕層が乗車し、「動く宮殿」とも称される豪華な車内に驚嘆の声が上がった。また、国境を越えるたびに各地の鉄道会社が連携し運行を支えるという前例のない仕組みも注目を集めている。

現在の終着駅は黒海沿岸の港町・ジオルジュ(ルーマニア)だが、将来的にはボスポラス海峡を越え、オスマン帝国の首都コンスタンティノープルにまで直通させる構想も語られている。

西欧と東欧を結ぶこの豪華列車が、旅の概念そのものを変えていくことは間違いないだろう。

— RekisyNews 国際面 【1883年】

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