三菱・共同運輸が統合、新会社「日本郵船」誕生へ

【東京 9月29日】

本日、郵便汽船三菱会社と共同運輸会社が正式に合併し、新たに「日本郵船会社(にっぽんゆうせん)」が誕生した。明治政府の主導によるこの再編は、我が国海運の近代化と国際競争力の強化を目的とする大きな決断であり、国内経済界に衝撃をもって受け止められている。

これまで郵便汽船三菱が事実上の独占を築く中、政府の後押しを受けた共同運輸が急成長し、両社の激しい競争は「海運戦争」とも称された。特に欧州航路・清国航路などでの運賃引き下げ合戦は激化し、国家的損失も懸念されていた。

今般の合併により、船腹1万5千トン・従業員900名以上を擁する巨大海運会社が誕生。これにより内外航路の合理化、技術力の向上、そして国際貿易の円滑化が期待されている。新会社の初代社長には、三菱側から荘田平五郎氏が就任する見通しだ。

官民の調和の象徴ともいえる今回の統合は、我が国海運の未来を大きく左右する転機となろう。欧米列強に伍していく上でも、その舵取りが注目される。

— RekisyNews 経済・産業面 【1885年】

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