パリに新興の「パテ兄弟商会」設立 蓄音機販売から新時代の娯楽産業へ

【パリ 9月28日】

本日、パリ市内にてパテ4兄弟──シャルル、エミール、テオフィル、ジャック──による新会社「パテ兄弟商会(Société Pathé Frères)」が正式に設立された。この企業は、蓄音機およびレコード(フォノグラフ)の販売を主力事業とする新興企業であり、近年注目を集めている音響娯楽の分野において、フランス国内でも有力な存在となる可能性を秘めている。

兄弟の中心的存在と目されるシャルル・パテ氏は、以前から音響技術に強い関心を持ち、アメリカでのエジソン式蓄音機の流行に注目していた。設立された新会社では、そうした機器の輸入・販売に加えて、独自の録音や複製技術の開発にも意欲を見せており、単なる販売業にとどまらない成長戦略を描いている

現在のところ、パテ兄弟商会は蓄音機とレコードの販売・貸与を中心とした営業形態を採っているが、今後は自社製造への転換も視野に入れており、音響と映像の融合といった新しい可能性への展望を語る関係者もいる。この動きは、パリを中心とした都市部で急速に拡大する大衆娯楽市場において、確かな商機と受け止められている。

なお、同社の事業は、後に映画映写技術やフィルム製作にも拡大していくとの見方があり、娯楽産業の新たな牽引役として期待される存在となっている。

産業革命以降、技術と芸術の融合が急速に進むヨーロッパにおいて、パテ兄弟商会のようなベンチャー企業の動向は、今後も大いに注目されるであろう。

— RekisyNews 経済面 【1896年】

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