【パリ 9月28日】
本日、パリ郊外セーヴルにある国際度量衡局(BIPM)において、第1回国際度量衡総会が開かれ、キログラムとメートルの国際的な基準が正式に採択された。これにより、今後全世界で共通に用いる質量と長さの基準が定められることとなり、工業・科学・貿易分野での計測の統一が一層進む見通しとなった。
会議では、質量の単位「キログラム」は白金90%・イリジウム10%からなる合金製の円柱(国際キログラム原器)の質量と定義されることが全会一致で決定。この原器は今後、唯一の基準として国際度量衡局で厳重に保管される。
さらに、長さの単位「メートル」についても、白金合金製の「国際メートル原器」が正式に承認された。この原器に刻まれた2本の微細な線の間の距離が、氷点下0度の温度において正確に1メートルと定義される。これは、原器の端部の摩耗を避けるための工夫でもあり、測定の正確性を追求した技術的配慮が施されている。
これらの決定は、1875年にフランスを中心として締結された「メートル条約」に基づく初の総会によってなされたもので、今後各国に対しても同一仕様の国家原器の配布が行われる予定。
会議に参加した各国代表からは、「工業や科学の進展において、共通の基準が持つ意味は計り知れない」との声も上がっており、国際的な計量制度の整備に向けた大きな一歩として注目されている。
— RekisyNews 科学面 【1889年】