【東京 9月25日】
本日、昭和天皇による生物学研究の集大成のひとつである著書『相模湾産後鰓類図譜』が岩波書店より発刊された。後鰓類、いわゆるウミウシなどを対象に、昭和天皇が長年観察・記録してきた標本や分類学的見解を、豊富な図版とともにまとめた専門書となっている。
本書は、天皇が皇太子時代から相模湾の海洋生物に関心を寄せ、研究を重ねてきた成果を学術的な形で公刊したもので、分類・記載にあたっては後鰓類研究の第一人者・馬場菊太郎博士が協力している。内容は詳細かつ正確であり、既存の分類に新たな光を当てる可能性もあると専門家の間で注目されている。
政治と距離を置いた戦後の象徴天皇制のもとで、昭和天皇の学術活動がより公に紹介されるのは初めてのことであり、「科学者としての天皇像」を新たに印象づける一冊ともなった。今後の研究にも多大な影響を及ぼすであろう本書の刊行は、学界のみならず国民からも関心を集めている。
— RekisyNews 学術面 【1949】