【浜松市 9月24日】
本日、静岡県浜松市において、技術者として知られる本田宗一郎(41)氏が新たな企業「本田技研工業株式会社」を設立した。自転車用補助エンジンの開発で注目を集めていた本田氏が、本格的な機械工業への進出を目的に立ち上げたもので、今後は二輪車を中心とした製造・販売体制の強化が期待されている。
本田氏は戦前より自動車部品製造を手がけ、戦後は自転車に小型エンジンを搭載する「原動機付自転車」で急速に頭角を現した技術者である。今年6月には「ホンダ号」と呼ばれる補助エンジンを市場に送り出し、手頃な価格と高い性能で多くの需要を集めていた。
このたびの法人設立により、これまでの個人経営に近い体制から脱し、資本金100万円での株式会社として再出発。浜松市内の工場にはすでに数十名の従業員が集められており、「技術と創意で国民生活を豊かにする機械を作る」という理念のもと、二輪機の開発・製造が本格化されるという。
本田氏は記者団の取材に対し、「日本の復興には実用的な移動手段が不可欠。国産の手による、誰もが乗れる機械を作りたい」と語り、今後の事業展開に強い意欲を見せた。
交通機関の復旧が道半ばの中、低価格で燃費の良い二輪機への関心は日に日に高まっており、本田技研工業の動向は業界内外から注目を集めている。新会社の成長が、日本のモータリゼーションの礎となる可能性もあり、期待が寄せられている。
— RekisyNews 経済面 【1948年】