【ニューヨーク 9月24日】
本日、ウォール街で突如として金価格が急落し、投資家や金融関係者の間に大混乱が広がった。後に「暗黒の金曜日（Black Friday）」と呼ばれるであろうこの暴落は、金投機によって高騰していた市場に対し、グラント大統領が財務省に金の売却を命じたことが引き金となった。
金価格は今月初旬から異常な高騰を続け、今朝には1オンスあたり160ドルに迫る勢いを見せていた。これは、実業家ジェイ・グールド氏とジム・フィスク氏が主導する金買い占めによる投機的な操作が背景にあるとされている。
彼らは、グラント政権内部の人物と接触を図り、政府による市場介入を回避しながら金価格を吊り上げていたとされるが、事態を重く見た大統領は、本日午前、財務省に対して4百万ドル相当の金の売却を指示。この一手により、午後には金価格が急落し、多くの投資家が含み損を抱えたまま市場から退場を余儀なくされた。
ニューヨーク証券取引所では、混乱と怒号が飛び交い、破産者が続出。一部では自殺を試みる者も現れるなど、深刻な影響が広がっている。銀行や企業の中には、流動性の不足により支払い停止を検討するところも出始めており、本件は今後、国家経済にも波及する恐れがある。
なお、金投機の背後にあった一連の動きに関しては、議会による調査が行われる可能性が高まっており、政財界への影響は避けられない情勢である。
市民の多くが「政府の判断は正しかった」と語る一方、「もっと早く手を打つべきだった」との声も強く、グラント政権の危機対応と倫理性が、今後問われることとなりそうだ。
— RekisyNews 経済面 【1869年】
