【札幌 9月23日】
北海道開拓使の肝煎りで建設が進められていた「開拓使麦酒醸造所」が、本日ついに開業を迎えた。本格的なビール醸造施設としては国内初とされ、将来的には「サッポロビール」の名で広く知られるブランドの原点となる可能性もある。
この醸造所は、ドイツから招聘された醸造技師・セバリン・ラウエの指導のもと、最新の西洋技術を導入して建設された。建物は赤レンガ造りの堅牢な構造で、ドイツ式のラガービール製法を採用し、北海道の冷涼な気候を活かした貯蔵技術も取り入れられている。
開業式では関係者が多数参列し、記念の乾杯が行われた。関係者の一人は、「文明開化の味が札幌から始まる」と感慨を語ったという。
この開拓使麦酒醸造所の設立により、日本における近代的なビール産業の幕開けが切って落とされたことは間違いない。今後は国内各地への供給拠点としても注目を集めることだろう。
— RekisyNews 経済・産業部【1876年】