世界初のハードディスク、IBMが発表――情報革命の扉開く

 【ニューヨーク 9月13日】

米IBM社は本日、同社の新型業務用コンピュータ「IBM 305 RAMAC(ラマック)」の一部として、世界初のハードディスクドライブ「IBM 350 ディスク・ストレージ・ユニット」を正式に発表した。この装置は、従来のパンチカードや磁気テープでは不可能だった“即時アクセス”を実現する記録媒体として、業界に衝撃を与えている。

IBM 350は、直径24インチの金属製ディスクを50枚積層した構造を持ち、総記憶容量は約5メガバイトに達する。装置全体は電話ボックスほどの大きさで、重さは1トン近くに及ぶが、必要な情報にランダムアクセスできるという特性は画期的であり、今後の大量データ処理の在り方を大きく変えると見られている。

発表会に登壇したIBMの研究開発責任者は、「我々は“電子の書棚”を作った。事務処理や在庫管理、小売業務など、あらゆる分野でデータ管理の効率化が進むだろう」と述べ、商用導入に向けた意欲を示した。

“RAMAC”は“Random Access Method of Accounting and Control”の略であり、本機は初めて“ランダムアクセス”を可能にした商用コンピュータとして、歴史に名を刻むこととなる。

紙や磁気テープ中心だった情報保存の時代は、いま大きな転換点を迎えている。IBM 350の登場は、「デジタルの未来」へと世界を押し出す、ひとつの革命の始まりかもしれない。

— RekisyNews テクノロジー面 【1956年】

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