【東京 9月11日】
本日、逓信省は東京市内の上野駅および新橋駅構内に、日本で初となる「公衆電話器」を設置し、試験運用を開始した。これにより、一般市民が料金を支払えば、誰でも電話を利用できる新たな通信手段が誕生したことになる。
この「自動電話器」は、利用者が銭を投入し、備え付けの電話機から直接相手先へ通話を行う仕組み。設置初日となった本日は、興味本位の見物客が電話ボックスの周囲に集まり、列をなすほどの盛況ぶりを見せた。
利用料金は、東京市内通話で5銭。時間制限はあるが、これまでのように電報や郵便に頼らず、緊急の要件を即座に伝える手段として、大いに注目を集めている。
逓信省関係者は、「今後は主要な鉄道駅や公共施設への設置を進めることで、通信の利便性を高めたい」と意欲を語っており、公衆電話の普及に向けた準備が着々と進められている様子だ。
なお、現段階では利用者のマナーや機器の維持管理といった課題も残されているが、市民の理解と協力のもとで、新たな通信文化が育まれていくことが期待される。
電話という文明の利器が、いよいよ一般庶民の生活にも浸透し始めた今、その利便性と可能性を活かすかどうかは、国民一人ひとりの手に委ねられている。
— RekisyNews 社会面 【1900年】