【ワシントン 9月10日】
米国の発明家エリアス・ハウ氏(27)が10日、自身が開発した「二重縫い方式」の縫製機械に関し、アメリカ合衆国特許第4750号を取得したことが明らかとなった。この新たなミシン機構は、上下の糸を交差させる“ロックステッチ(二重縫い)”を採用しており、従来の手縫いに代わる画期的な仕組みとして注目を集めている。
今回特許が認められたミシンは、縫い針に穴を先端側に設け、糸を通した針が布地を貫通すると同時に、下部にあるシャトルが別の糸を交差させる構造。これにより、丈夫かつ均一な縫い目が素早く形成され、手作業では難しい精密な縫製が可能となる。
ハウ氏はマサチューセッツ州出身。機械工として働く中で、妻が家計のために縫い物に追われる姿を目にし、「縫う作業を機械化できないか」との発想を抱いたという。試行錯誤の末に生まれた今回の機構は、木製フレームの上に金属製の針・シャトル・送り歯を備え、一定のリズムで布地を送りながら縫い合わせる仕組みを有する。
現在のところ、この機械は1分間に250針以上を縫うことができ、熟練した仕立て屋の数倍の速さを誇る。衣料品の製造や軍服の大量生産に大きな変革をもたらす可能性があり、商業的な成功も期待されている。
ただし、機械の構造が複雑で製造コストが高いため、家庭への普及には課題も残る。さらに、縫製職人たちの間では「機械に職を奪われるのではないか」との懸念も広がっており、今後の反響が注目される。
ハウ氏は今後、機械の改良とともに事業化に向けた出資者の募集を始める予定だと語っており、産業革命の只中にある繊維業界において、大きなうねりを巻き起こす発明となる可能性がある。
— RekisyNews 科学技術面【1846年】