【東京 9月6日】
本日、東京にて新たな演劇団体「文学座」が正式に発足した。発起人は劇作家の岸田國士氏を中心に、作家・演出家の久保田万太郎氏、劇作家の岩田豊雄氏(筆名:小山内薫二世)ら3名で、現代演劇の向上と演劇人の育成を目的として、真摯な舞台芸術の創造を掲げている。
文学座は、単なる商業的興行ではなく、文学性と芸術性を重んじた本格的な現代演劇の上演を理念として掲げ、すでに多くの俳優志望者や演劇関係者からの関心を集めている。
岸田氏は記者会見で、「我々は芝居を“読む”のではなく、真に“生きる”ための演劇を目指したい」と語り、西洋演劇の影響を受けつつも、日本独自の現代劇の確立を強く意識している姿勢を見せた。
旗揚げ公演は年内にも予定されており、第一作には岸田國士氏の作品が取り上げられる見通し。劇団には既に新人俳優の育成機関も設けられ、次代を担う演劇人の登竜門としても注目されている。
昭和期の演劇界において、新たな一歩を記した「文学座」の今後の活動に、大きな期待が寄せられている。
— RekisyNews 文化面 【1937年】