新電電3社、市外電話市場に本格参入 競争時代が幕開け

【東京 9月4日】

本日4日、第二電電(DDI)、日本テレコム、日本高速通信のいわゆる「新電電」3社が、一般消費者向けの市外電話サービスを正式に開始した。これにより、長らく日本電信電話(NTT)の独占下にあった国内通信市場に、本格的な競争の時代が到来したことになる。

新電電3社は、1985年の通信自由化に伴い民間参入を認められた事業者で、これまでは企業向け専用線や実験的なサービスを中心に展開してきた。しかし本日からは、個人利用者を含む一般家庭向けに、東京-大阪間など主要都市間の市外通話サービスを提供開始。電話番号の前に特定の識別番号(例:0077など)を付けることで、NTT回線とは異なる経路で通話が可能になる仕組みだ。

各社は価格やサービス内容に独自の工夫を凝らしており、たとえばDDIは最大で2割程度の割引通話を打ち出し、日本テレコムは安定した通信品質を訴求、日本高速通信は法人向けと家庭向けの両面での拡大を目指す構えを見せている。

一方で、利用には各家庭のプッシュ回線やダイヤル操作の手間が必要なことや、通話エリアが限定的なことから、利用者の定着には一定の時間を要するとの見方もある。

それでも通信業界関係者からは「この日は、戦後の電話事業以来の大きな転換点」との声もあり、今後の料金競争や技術革新に対する期待は高まっている。

通信の自由化がもたらす恩恵を国民がどのように享受し、選択するか――利用者側の動きもまた注目される。

— RekisyNews 経済・通信面 【1987年】

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