“Kodak”誕生 イーストマン氏、写真の大衆化へ一歩

【ニューヨーク 9月4日】

本日、米国の発明家ジョージ・イーストマン氏が、革新的なロールフィルム・カメラに関する特許を正式に取得し、あわせて新商標「Kodak(コダック)」を登録したことが明らかとなった。この発明は、これまで専門的な装置と手間が必要とされた写真撮影のあり方を大きく変える可能性がある。

今回特許を取得したのは、あらかじめロール状の感光フィルムが装填された軽量な箱型カメラで、使用者はただシャッターを押すだけで撮影が可能。撮影後はカメラごとイーストマン社へ送付すれば、現像・焼き付け・再装填が行われ、再び使用者の手元に戻るという仕組みだ。初期モデルの宣伝文句は「You press the button, we do the rest(ボタンを押せば、あとはお任せ)」とされ、極めて簡便さを強調している。

これまでの写真術は、重くかさばる機材と化学処理を要し、限られた技術者の手にしかなかったが、本発明により誰もが気軽に日常の光景を記録する未来が現実味を帯びてきた。

なお「Kodak」という名は、イーストマン氏が発音しやすさと覚えやすさを重視して創案した独自の語であり、他に類似語がないため商標としても優位性があると見られている。

写真という技術が一部の職業人の手を離れ、大衆の道具となるその夜明けを、Kodakの誕生は告げているのかもしれない。

— RekisyNews 経済・技術面 【1888年】

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