国鉄、磁気浮上式リニアで世界初の有人走行に成功 時速172kmを記録

 【宮崎 9月2日】

国鉄(日本国有鉄道)は本日、宮崎県日向市のリニア実験線で開発中の磁気浮上式リニアモーターカーによる世界初の有人走行実験に成功した。車両はわずか数センチ浮上した状態で、最高時速172キロを記録。次世代高速鉄道の実用化に向けた大きな一歩として、国内外の鉄道関係者の注目を集めている。

今回の実験は、宮崎実験センターで開発中の「ML-500」車両を用いて実施。運転席には国鉄の試験担当者2名が乗り込み、延長7キロの実験線を走行した。車両は電磁石の反発力を利用してレールから浮上し、摩擦を大幅に低減。地上コイルによる推進力で加速し、最高時速172キロに到達した。

国鉄技術研究所の担当者は、「世界で初めて人を乗せた状態での磁気浮上走行に成功した。近い将来、時速500キロで東京と大阪を結ぶ夢の鉄道を実現したい」と抱負を語った。現地には報道陣や技術者らが多数集まり、試験車両が音もなく加速する光景に驚きの声が上がった。

リニアモーターカーは、車輪を使わずに走行するため、従来の新幹線を超える超高速輸送が可能になると期待されている。しかし、長距離営業運転に必要な安定性、騒音、膨大な建設費など課題も多い。今回の成功は「技術実証」の第一歩であり、今後は無人走行試験で時速500キロ超を目指す計画だ。

国鉄は、昭和末期から平成初頭をめどに、東京—大阪間を約1時間で結ぶ商業路線の実現を視野に研究を続けるとしており、今回の快挙は日本の鉄道史に新たなページを刻むものとなった。

— RekisyNews 科学技術面 【1982年】

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