北大西洋の深海でタイタニック号発見 73年ぶりに眠りから覚める

 【ワシントン 9月1日】

1912年に北大西洋で沈没し、1500人以上の犠牲者を出した豪華客船「タイタニック号」の残骸が、米仏合同調査チームによって発見された。アメリカ・ウッズホール海洋研究所とフランス海洋開発研究所が共同で実施した深海探査で、現地時間8月31日未明、水深約3800メートルの海底でその船体を確認した。

調査を率いたロバート・バラード博士は会見で、「ついにタイタニック号が見つかった。船体は驚くほど良好な状態で保存されている」と語り、感慨深げな表情を見せた。今回の調査では最新鋭の無人探査装置「アルゴ号」を投入し、暗黒の深海で撮影された映像には、船首部分がほぼ原形を保ったまま静かに横たわる様子が映し出されているという。

タイタニック号は1912年4月、イギリス・サウサンプトンから出航したニューヨーク行き豪華客船だったが、北大西洋で氷山と衝突し沈没。乗員・乗客2200人余のうち約1500人が命を落とした。長年、その正確な沈没地点は不明で、数多くの調査が行われたものの発見には至らず、「海の最大の謎」とされてきた。

今回の発見により、事故当時の状況解明や沈没原因の再検証が進むとみられる。すでに米仏両国は船体保存の方針を巡って協議を開始しており、観光目的での引き揚げは行わない方針だという。

世界中の人々の想像をかき立ててきたタイタニック号は、73年の時を経て、ついに深海の眠りから呼び覚まされた。

— RekisyNews 国際・科学面 【1985年】

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