スペースシャトル「ディスカバリー」初飛行成功 米国の有人宇宙計画に新章

【フロリダ 8月30日】

米航空宇宙局(NASA)は本日午前8時41分(日本時間同日午後9時41分)、新型スペースシャトル「ディスカバリー号(STS-41-D)」を初めて打ち上げた。蒸し暑い夏空の下、オレンジ色の燃料タンクを抱えた白い機体は轟音とともに上昇し、観客席からは大きな歓声が上がった。初飛行は順調に進行中で、米国の有人宇宙開発は新たな一歩を刻んだ。

今回のミッションでは、通信衛星「SBS-4」や「シンコム3」など計3基を放出予定。また、シャトルの貨物室には大型太陽電池実験装置(OAST-1)が搭載され、宇宙空間での高効率発電の性能試験が行われる。NASAによれば、ディスカバリー号は計5人の飛行士を乗せ、7日間にわたり地球周回軌道を飛行する計画。

指令官はヘンリー・ハーツフィールド氏、副操縦士にはマイケル・コーツ氏が就任。今回の初飛行では安全性の検証が最優先とされ、当初は6月の打ち上げ予定だったが、燃料系統の不具合やエンジントラブルにより3度延期されていた。技術者の間では「試練を乗り越えた初飛行」との声が上がっている。

現地ケネディ宇宙センターには約20万人が集まり、カウントダウンがゼロになると地面を震わせるほどの爆音とともに機体が上昇。観客の一人は「胸が熱くなった。新しい時代を見ている気がする」と語った。

ホワイトハウスは「ディスカバリー号は我々の探究心と技術力の結晶だ」と声明を発表。NASAは今後、シャトル計画の中核機としてディスカバリーを運用し、宇宙開発の実用化と商業化をさらに推し進める方針だ。

— RekisyNews 国際・科学技術面 【1984年】

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